わたしは…3が嫌いだ。
3と言う数字に幾度となく傷付けられた。幾度となく苦しめられた。
言うなれば、アンラッキーナンバーとでも言うべきか。
だから、3に恵まれ、3に沈められる。
3なんて大嫌いだ。


「………あんた、日本人?」


聞き慣れない多数の言語が入り乱れ、華やかな音楽が流れる空間、非日常的な世界、そこにわたしはいた。
漆黒の髪に漆黒の双眸、他者より白めの肌に着物を見に纏えばこの場の者達全員がわたしは日本人である、と推測するだろう。
そして返答はイエスだ。わたしは日本人。この非日常的空間には似つかわしくない者。

粗末な着物をボロボロに身に纏い、髪の毛は結いもせず下げたまま化粧もしてない。明らかにみすぼらしい様はさぞ滑稽で哀れだろう。
証拠に、幾度も赤の他人に嗤われた。翻訳も出来ない言葉で何かを言われ、嘲けるよう嗤われる。生き恥以外の何物でもなかった。でも、そんな奴らと言い合う勇気も悔し涙なんか流す元気もない。
わたしはただ無気力に流るるままに椅子に座り、騒ぐ心拍を平静に装いながらいつか来たる死を1秒でも早く訪れるよう、せめて死は穏やかに苦しまないものであるよう願うだけだった。


「その口は飾りか」

「……」

「…お前、ここがナニかわかってんの?」

「………」


ここがナニか?…そんなもん、考えるだけで反吐が出る。
自分の座る椅子のすぐ隣に置かれてる小さなテーブル、テーブル上に置かれた札には30万ドル、と書かれている。
膝の上で重ねていた手を強く強く握り締める。意味なんかをわかってしまうのがひどく悔しいものだ。いっそ何もわからず座っていられたら。


「30万ドル、日本円にしたら今の相場だと3451万…小さい額は端折る。お前の価値はたかだか3500万だ」

「……」

「無理やり着せられたそれ、まるで売女だな。日本の売女風情に30万ドルも使わせる、なんてのは売女にしては高く見てもらえてる」

「………」

「なんて思ってんじゃねぇよな?……てめぇはその程度の安い売女か」


ああ、もう、腹が立つ。
歯を食いしばり、生きるために耐えているのに。必死なのに。


「…てめぇみたいな安い雌のせいで僕らがなめられんのは腹立つんだよ。黙って人形ごっこしてんなら今すぐ自害しろよ、」

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